芝祐靖(雅楽)
Sukeyasu SHIBA, Gagaku(composer and musician)
1935年8月13日東京生まれ。奈良系の伶人の家に生まれたため、宮内庁楽部予科・本科を経て、楽生科に入学。横笛、左舞、琵琶、古代歌謡などを修め、1955年卒業。1955年~1984年、宮内庁楽師(総理府技官)を務める。宮内庁退官後は、横笛演奏を中心とした活動を行う。1985年伶楽舎を結成、以来、音楽監督を務めた。
古典雅楽の演奏、現代雅楽、現代邦楽の作曲・演奏のほか、雅楽廃絶曲の復興も手がけた。国立劇場が行った正倉院収蔵楽器復元事業にも携わり、楽器の復元の他、復元楽器のための作品を数多く作曲している。宮内庁楽部在職中の1959年には、皇太子殿下ご成婚にあたりオーケストラ作品「御成婚祝典序曲」を作曲。この曲を含む洋楽器のための作品は2016年にCDにまとめられた。
宮内庁楽部在職中に、宮内庁楽部アメリカ公演(1959年)、ヨーロッパ公演(1970年・1976年)に参加。1986年以降は、ソロ、伶楽舎ほかのアンサンブルで数多くの海外公演を行い、古典・現代雅楽の紹介につとめている。1998年の長野冬季オリンピックの開会式では雅楽(龍笛:芝祐靖、笙:宮田まゆみ)で「君が代」を演奏、世界中に雅楽の響きの魅力を伝えた。2010年ミュージック・フロム・ジャパン35周年記念公演では特集「芝祐靖・雅楽の宇宙」が組まれ、ニューヨークとワシントンDCで公演、絶賛を博した。
若い世代にも雅楽を親しんでもらえるよう、子どものための雅楽作品を創作、伶楽舎の全国小中学校公演にも自ら参加するなど雅楽の普及活動に熱心に取り組んだ。国立劇場主催公演には開場(1966年)以来数多く出演、作曲作品もたびたび演奏されており、2016年の国立劇場開場50周年記念雅楽公演では、芝祐靖作品が特集された。
2003年より日本藝術院会員。2011年文化功労者。2017年文化勲章受章。
2019年7月5日永眠、享年83歳。